光と粒子の間には4つの相互作用が起こります。
- 粒子の輪郭での回折(フラウンホーファー回折)
- 粒子の内側と外側両表面での反射
- 分散媒と粒子の間の界面で起こる屈折
- 粒子内部での光の吸収
これらの相互作用によって、粒子に光が当たったときには粒子径に応じて散乱光の強度パターンが変化します。この変化を捉えて、粒子径として表すのがレーザー回折散乱式の装置になります。この散乱パターンは光の波長と測定する粒子径との関係により決定されており、粒子径がμm~mmのオーダーでは粒子径は光の波長よりも十分に大きくなり、このとき散乱は狭い角度で前方のみにおこります。このときの散乱光から粒子径を算出するのにフラウンホーファー近似式を用いて表すことができます。フラウンホーファー近似式は、
- 粒子は球形である。
- 光の波長と比較して粒子サイズが十分に大きく、粒子の輪郭での散乱のみが考慮できる。
- 近前方の散乱のみが起こる。
ことが仮定となります。フラウンホーファー近似は、散乱体の光学特性に関する情報(すなわち屈折率)を無視することができ、大粒子や不透明な粒子、分散媒との相対屈折率が高い粒子に適応することができます。(1)
粒子径がnm~μmのオーダーになると粒子径は小さくなるほど散乱光はより後方に散乱します。粒子径が50μm以下の粒子、特に相対屈折率の低い粒子ではフラウンホーファー近似式を適応すると、粒子の持つ体積に比例した誤差を生じます。この誤差を解消するためには、より厳密なローレンツミー理論が必要となります。(2、3)
さらに粒子径が小さくなり、nmの領域になると光は前後対称に散乱され、その分布は繭玉状になります(4)。散乱パターンが繭玉状になると、粒子径が変化しても形状は相似となりその大きさのみが変化するため、散乱パターンに違いがなくなってしまい、レーザー回折の装置では測定ができなくなります。この光の波長と粒子径との関係から、Mastersizer2000ではサブミクロンの領域まで正確に測定ができるよう、633nmのHe-Neのレーザーのほかに466 nmの波長をもった青色LEDも搭載しています。





散乱パターンをより正確に捉えるために、レーザー回折散乱式の装置では、ディテクターの配置が重要になります。散乱パターンの違いを正確に捉えるためには、より多くのディテクターを配置すればよいと思われがちですが、粒子群から粒度分布を求めるための演算式は非常に複雑なものなので、ディテクターを多くしすぎると計算式がさらに複雑になり、測定誤差を引き起こすことになります。Mastersizer2000の光学系は前方・側方・後方のそれぞれ適切な位置にディテクターを配置しておりまた後方に散乱する非常に弱い散乱光を捕らえるために、後方のディテクターには集光レンズをもたせています。

上記の説明からもわかりますように、レーザー回折の測定原理を用いた装置ではしばしば屈折率の入力が問題になります。屈折率とは粒子固有の物性値で粒子径が小さくなるほど測定結果に影響を与えるので、ISO13320-1では粒子径が50μm以下の粒子に対しての入力が推奨されています。


